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第3回 公報明細書から
2021/11/15
蓋には鋭利な刃物などを引っ掛ける部分が無い。もし誰かが刃物をひっかけて蓋をこじ開けるとブザーが鳴り、失敗する。
翻訳例
“The lid has no portion that can be engaged by a sharp cutting tool or the like. If someone tries to engage a cutting tool to forcedly open the lid, an alarm buzzer rings and he or she will fail.
解説
あまり疑問を持たずに翻訳で間違えそうな典型例の一つです。刃物をひっかける部分がないと言っておきながら、それに続く部分で、もし誰かが刃物をひっかけて、と記載している。日本語としてはそれほどの違和感はないが、このような場合は“try”あるいは”attempt”などを加えないと英語としては矛盾した文章になってしまう。つまり、”if someone engages”ではなく “if someone tries to engage”としないとおかしなことになってしまう。日本語では例えば「~は動かせない」と記載しているそのあとで、「もし、動かすと」というような文脈が時に出てくるが、訳す場合にはtryやattempt の概念を加える等の注意が必要です。ついうっかり犯しやすいミスです。